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立」は必要です。また『称号制度』もあります。称号というのは、錬士、教士、範土のことです。段を持ったら空手を学ぶ者として、自信と誇りを持って行動する人間にならなくてはいけません。称号は人に教えるというよりも空手道の奥義を極めた者。空手が生涯の武道だとしたら簡単には極められないけれど、極めつつある人のために称号というのがあると思います。
国民の健全なるスポーツということは安全であることが前種です。年中ケガしていたら健全ではないですからね。ところが安全ばかり重視していくと、先手道の本来の動きを損ねてしまうおそれがあります。自分の安全を守るためには相手を倒すというのが武道精神です。『安全性』と『武道性』この両方がないといけません。
−この両立は難しそうですね。
蓮見 日本国民が空手道を通じて健全なる精神と身体を練成する、それが目的となると、世界に空手がポピュラーなスポーツであることを認知されなくてはいけません。それにはオリンピックの参加が1番なんです。

 

2004年にはオリンピック参加決定か!

 

−現時点ではオリンピック参加の動きはどこまで進んでいるのでしょうか?
蓮見 昨年の6月に大阪で、ITKFとWKFが話し合いまして、これからは前向きに協力していこうと調印しました。来年の6月までに細かい規約を検討してIOCに提出することになっています。現段階では、まだその組織の組み方に若干の相違があり、我々としてもまだはっきりしていません。6月までにそういうところを煮詰めていくことになっています。
−提出すると、次はどうなるのでしょうか?
蓮見 今は暫定的に承認競技として認められていますが、提出して承認されて、初めて正式な中込みができるんです。実は、WKFのデルクール会長から2004年のオリンピックに、100名の選手に限って参加できる可能性が高いと言われているんです。それでも164カ国の国があるというのに、100名の選手なんて選べるわけないでしょう。日本から一人出るか出ないかですよ。まあ、それでもひとりもいないよりはいいですから。
−それは楽しみですね。
蓮見 どういう風に参加選手を決めるかは今後決めていかなくてはいけません。まだまだ課題は多いです。

強くなる空手、心豊かになる空手、

夢のある空手を目指したい

−それでは今年の抱負を聞かせて下さい。
蓮見 先ほども言いましたが、まず一つに、生涯スポーツとして子供たちにも出来る制度をつくることと、指導員の養成ですね。中学校空手道連盟が出来たことは小学校につながります。やはり、そういった子供の指導方法(カリキュラム)をつくらなくては。大人と子供は違うんです。例えば腕立て伏せ。大人が100回だったら子供は10回、それじゃあ駄目なんです。男と女の他に子供がいる、そういう考えでいかないといけませんね。
二つめ、魅力ある空手をつくる。魅力ある空手といっても安全なことだけではない、楽しいだけではないんです。強さを求めてきます。そのために武道としての教え方を確立していかないとね。子供たちがやめていかない空手、強くなる空手、夢のある空手を目指したいですね。
三つめはオリンピックヘの道です。
−普及活動はどんなことをしているんでしょうか?
蓮見 宣伝は、やっぱりメディアの力は凄いですよね。宣伝と広報は積み重ねていかないと意味がないんです。中途半端だとそれはやっていないのと同じになります。ポスターを作るんだったら1万枚くらい作らないと。500枚ぐらいだったらやらないのと同じですから。この前の全日本大会では300社の新聞社、雑誌社に告知を流しました。これからも一層イメージアップのためにやらないといけませんね。
−さて、今年から国体が変わりますね。
蓮見 ええ。今年の大阪国体から女子組手が正式種目になります。女子の組手ができることは大きな普及のきっかけになりますよ。
−楽しみですね。選手の皆さんも今より一層やる気が出るんじゃないでしょうか。今日は、どうも有難うございました。今後の全空連の発展と蓮見専務理事のご活躍を期待します。

 

 

 

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